民間工事の契約自由の原則
建設工事はお役所が発注する公共工事だけでなく、当然、民間が発注する工事もあります。
民間工事でも入札方式はありますが、公共工事のような制約はなく、自由に行う事が出来ます。
つまり、事前に経営事項審査を受ける必要はありませんし、資格審査申請をする必要もありません。
入札の多くは指名競争入札の方式ですが、参加資格に制限はなく業者の熱意、技術力、信頼関係など総合的に勘案して発注者の裁量で業者を決めます。
これは民法の契約自由の原則に則り、建設工事の発注先を決める方法は基本的に自由です。
発注者は初めから特定の建設会社を信頼して決定する事も出来ます。
特命方式と呼ばれますが、発注者が設計者や建設コンサルタントと相談して、意中の建設会社を調査して見積もりを求めます。
見積もりが予定の価格内であれば、発注します。
発注者が以前に工事を発注していて、よい印象や実績があり、相互に信頼関係がある場合に多く採用されます。
実際に工事の施工を任せるには、その建設会社の技術力、施工能力、組織力、信用状況、工事の品質、工期に関する要素など、様々な点で信頼出来る業者でなければなりません。
これらの信頼は過去の実績、経営者や従業員の人柄、企業間取引など、様々な要素を総合的に考えて生まれてきます。
民間工事の場合、結果がシビアに次の工事の受注に繋がりますので、施工の良し悪しが建設会社の信頼に影響してきます。
実際に特命方式で発注する場合、最も重要視されるのが、過去の工事での施工評価の高さだといわれます。
多くの建設業者は、特命方式での受注を狙っていますが、初めからこのような信頼関係をすぐには築けません。
一般的には見積もり合わせから、適切な建設業者を決める事が多いようです。
同じ設計図所に対して、複数の業者の見積書を提出させて、比較検討します。
この中で最適の建設業者を決定します。
建設業者は、この工事の施工評価で高い実績を残せれば、次回の工事の受注に役立ちます。
何回もこのような過程で工事実績を積んで、会社としての総合的な評価を高めていく必要があります。
このような地道な努力を積み重ねて、信頼を築いていきます。