建設業は受注産業
建設業は受注生産方式で仕事を行っています。
受注生産方式とは、特定の顧客の注文を受けてから商品を作り始める方式です。
橋、ダム、トンネルなどを前もって作っておいて、その後買い手を探す事は想像しにくい事だと思います。
当然、発注者からの依頼があって、見積書を出して、工期など決めて計画的に工事を進めていきます。
ビルや住宅なども基本的にはオーダーメイドのような方式で、注文の後、設計者などの依頼に応じて工事がスタートします。
この反対が見込生産方式で、需要予想に基づき、不特定多数の顧客に販売する事を見込んで生産をあらかじめ始めておきます。
家電製品や電子機器、衣料品、食料品などはこの方式で生産しています。
建設業も製造業も同じ物作りの産業ですが、一定の生産工程に従って生産する製造業とは、建設業はこの点で決定的に異なっています。
建設業は工作物の規模が大きく生産場所や生産物も1件ごとに異なります。
全く同じ物を大量に作る事はありません。
なので、個別の工作物ごとに工事計画を策定して、工事に必要な機械機器、資材などを計画的に取り揃える必要があります。
建設生産は鋼材、コンクリート材、埋戻土、内外装材などをメーカーから必要なタイミングで購入し、そのまま現場で組立てを行います。
そこには計画的な工事工程が不可欠です。
また、安全に工事を施工するために現場レベルでのマネージメントスキルが要求されます。
現場で指導・監督する人は経験豊富な施工管理技士が担当し、安全で効率的に作業できるように、的確な指導が出来なければなりません。
よく建設業界は薄利多売といわれますが、このように、1つの工事を完成させるために、数多くの人、物、手間を要するので、そのような形態にならざるえないのです。
発注者は個人、企業、国、地方公共団体、宗教団体などあらゆる分野からあります。
一般の人に馴染み深いのが住宅建築だと思います。
外を歩いていると、建築中の住宅を見かけることもあると思いますが、それらの工事も発注者からの依頼あって行われています。
工事には様々な職人が関わりますが、一定の計画の元行われています。
工事期間は工作物によりますが、一戸建て住宅は1年以内に工事は終了する事が多いようです。
今まで空き地で、雑草が生え放題だった所に、数ヶ月後には立派な住宅が建って人が住むようになるのは、見ていて不思議な感じがしますが、今まで説明してきたような様々な人の協力のもと、そのような工事も可能となるのです。